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ブログ HITOGATA   in Otaru       by摩耶

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2012年 09月 14日

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 以前陶芸の方と二人展を開催していた時、 器を前に「これは何焼きですか?」という質問をされるお客様がよくいらっしゃいました。 私も陶芸の事は詳しいとは言えませんが説明すると、よくいう◯◯焼きとは、たいてい窯業地のやきものを指しています。 窯業地は、そこの土地でとれる陶土でその土地独自の様式や技術を見出し、築き上げ、それが伝承され引き継がれたものが◯◯焼きと呼ばれるようになったのだと理解しています。 しかしながら流通が発達した現代、アマチュアでさえ好きな産地の土を簡単に手に入れられます。 なので今では東京で清水焼のような器を作りたいと思えば出来ますし、備前の土を取り寄せ北海道の土と混ぜて焼くことなんてことも可能なのです。 勿論窯業地では今も伝承され技術を引き継いでいる窯元も多いですが現在のやきものはそれだけでなく、陶芸作家の自由な創意工夫から生まれた作品も数多くあります。 そのため「◯◯焼き」にも属さない作品も数多く出回っているのでした。 思うのですが、「何焼きか」と尋ねる方は失礼ながら、◯◯焼きをよくご存じないのでしょう。 それなのに「◯◯焼き」に分類することで何が分かるというのでしょうか? もしかしたら目の前にある陶芸品がどこに分類されるのかを知ることで理解の糸口を見付けたいのかもしれません。 けれども何かに分類するのではなく「自分が感じるままに見て、そこから見えてくるもの、感じられるものを素直に受け止める。」、その方がずっと深く理解したことになるのではと私は思うのです。

 また個展でも私のことを「彫刻家なのですか、人形作家、それとも陶芸家なのですか?」とか「この世界はなんというジャンルなんでしょうか?」という質問を受けることがあります。 そんな時 「私はどちらでもありません。 素象人形自体が『彫刻でも人形でもない。』とみなされ、カテゴリーがないのです。 けれどある方に『カテゴリーとは人が作ったもの。 ならば あなたのカテゴリーが作られるように頑張りなさい。』と、励まされました。 それ以来 同じ作るなら自分独自の世界をと思い、試行錯誤しながら模索しています。」とお答えしています。 
正直既存のカテゴリーに当てはまっていればどんなに楽だろうと思うこともないわけではありません。初対面の方に自己紹介をする際に自分の世界を説明するのがとても難しいですし、参考資料を探しに本屋に行っても当然専門のコーナーなんてありません。陶芸や彫刻ならあるのにと弱音を吐きそうになる事もあるのです。
 けれど粘土の可能性は無限、そこから何を見出すことが出来るか、それは自分次第と思うとむしろ緊張を伴った高揚感があるのでした。 勿論 私の世界は既存のジャンルではないゆえ、広く知ってもらうにはこれから先、長い時間と努力が必要です。 また先人がいない道を細々と歩くのは時に孤独を感じる事も正直あるのですが、それでも私は諦めないで進んでいこうと思っています。 まだ私は◯◯才(笑)、先が見えないけれど遙かな道のりを歩く時間もまだありますから。


by Blog_Maya | 2012-09-14 07:48 | 素象人形


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