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2010年 05月 30日

茨木家中出張番屋

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祝津のにしん漁場の建物の中でこの番屋は一番腐朽がひどかった。 30年間空き家だったため屋根に穴が空き、外壁ははがれていたのです。 そして春になってこちらの前を通りかかったところ、なにやらブルーシートが張り巡らされ作業している人がいる・・・、
「遂にこれも取り壊されてしまうの?」 とても残念・・・。
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ところがこれは解体ではなかった053.gif 町内の集会やまちづくりの施設として活用するのだそうです!
国土交通省の「建設業と地域の元気回復助成事業」という建設業と異業種が連携して地域活性化の取り組みを支援するもの。 
全国240件の応募の中から104件が採択され、北海道では21件中5件が選ばれたそうです。
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この番屋だけは改修前に建物調査を行った北海道職業能力開発大学校 駒木准教授が説明されました。 室内は玄関から土間が広がり、正面奥にはかまど、その屋根上には煙を吐き出すための煙り出しにつながっていました。 かまどの後ろには傾いていたトイレに代わって断熱材で囲った男女別のトイレを作るそうです。 
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土間を堺に右手は座敷が6室もあり、神棚がある部屋から囲炉裏が発見されました。 本建物は古材を転用しながら建てたことが今回の調査で分かり、さらに座敷の部材に墨書が埋め込まれていました。 それには「明治九年」「羽後国飽海群千代田村」と記されている事から最初の建物は明治9年に完成し、茨木興八郎の出身地である千代田村の人物が関わっていたことが分かります。
また棟札が発見され、「秋田県山本群常盤村 大工棟梁山田留吉」「明治四十五年六月五日」と書かれていました。 また建物南側の柱落書きに「秋田県山本郡沢目村目名潟」とあるのを発見。 双方に共通する秋田県山本郡の出身者が茨木家に雇われ祝津に来たと思われます。山田留吉は茨木家の建築に関わった棟梁で大正12年まで祝津などに存在していたことが分かっているそうです。
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かまどの左手は漁夫が寝泊りするための「ネダイ」という板棚が壁に張り巡らされていたのですが、その下から鉄製の錨が何個も出てきたのでこれも何かに活用したいとのことでした。
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二本の太い柱と斜めの筋違いは西洋風小屋組みの木組み(トラス)を支える特異な構造です。 外観の腐朽状態からは想像できなかったのですが、内部は明治時代の番屋の様子をよく残していました。 30年もの長い間空き家で屋根と壁が傷んでいても、浜辺の風雪に耐えることが出来たのはこの堅牢な木造建築技術のお陰です。
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平成22年6月に地域のコミュニティーセンターとして生まれ変わる茨木家中出張番屋、地域の歴史と文化を見直して観光事業の発展を促す目的が認められた事業です。 これには小樽商工会議所会会頭を筆頭に地元から祝津たなげ会、小樽市、小樽建設業事業協会、小樽観光協会など全市を挙げて取り組む姿勢も採決された理由の一つと思われるとのことでした。 祝津では茨木家中出張番屋の存続の話し合いを機に周囲のにしん漁家や石倉を地域の歴史的、文化的遺産として見直す機運が高まっています。 完成を楽しみに番屋を後にしました。 これで番屋巡りは終わります。
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by Blog_Maya | 2010-05-30 08:59 | 小樽 | Trackback | Comments(2)
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Commented by ariari at 2010-05-31 01:45
あらー。秋田県山本郡!ぼくの生地じゃないですか。
まあ、それはともかく。旧い建築物を活かすってのは最高です。
新たに建てるより活かす方がエコですし。
昔ながらの住宅もこうして活かせる方向で補助金出ないかな(笑)。
って、家も持ってないし、死ぬまで買えないでしょうけど。
いつか欲しいな古民家。
Commented by Blog_Maya at 2010-05-31 15:30
ariariさん
秋田のご出身と存じ上げていましたが山本郡まで同じでしたか、奇遇ですね。
もしかしたら、御先祖様は留吉氏とお知り合いだったかもしれませんね。
海外ではリフォームすると売る時に価格が上がるのが一般的なのに日本は一週間でも人が住むと
価値が下がる変な国ですが、そろそろ その考えを改めなけばならない時期に来ていますよね。 
我が家も未だに社宅、マイホーム、憧れます。
けれどariariさんなら古バスに電気と水道を引いて住まれるのも憧れませんか? 
茨戸にあった今はもうない廃バス合宿所、一度お見せしたかったです。
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